新しいマクロ経済学の政策的可能性
【研究分野】経済理論
【研究キーワード】
Growth / Patent / Government Bonds / Taxation / Capital Accumulation / Trade Union / Unemplogment / Environment / Unemployment / Central Bank / Human Capital / Exchange rates / Asset Pricing / Price Floor / Price Ceiling / Public Input / 戦略的補完関係 / 不完備市場 / 財政金融政策 / 公的年金と経済成長 / 環境政策と経済成長
【研究成果の概要】
平成11年度から平成13年度の3年にわたる研究期間において、合計23回のマクロ経済学研究会を開催し、国内外のマクロ経済学研究の最先端で研究する研究者の報告を通じて新しいマクロ経済学の成果を吸収することができた。
財政金融政策の面においては次のような政策的な合意を得た。財政政策を景気対策として使用することは資源配分上大きな問題を持っており、金融政策を主として景気対策に当てるべきであるというものである。というのは、財政政策はいくつかの点で大きな歪みをもたらすからである。第1に、政治的な要因によって。第2に、政策効果の遅れによって、予期せぬ時点で政策効果が現れることがある。というのが主な点である。
労働市場に関わる論点としては次のようである。労働者規律モデルを用いると、退職金が大きく、定年時の賃金が高いほど、失業のコストが高く欠勤や休暇が少なくなる。失業保険給付の大きさと失業期間には正の相関が見られ、失業保険給付の大きさをどのようにあるかは失業対策として非常に重要である、と言うような点である。
期待の協調(coordination)も重要であると言うのも得られた重要な結論である。特に2000年を超えてからのデフレ状況の深刻さを考えるとき、経済主体の期待が縮小傾向にあり雇用水準・生産水準を低いレベルに押しとどめてしまうことが持っている意味の重要性が共通認識として得られた。しかし、この点では政策的にどのような提言が可能であるかについては現時点で確定的なことは言えていない。
【研究代表者】