幼児期における特定の「親密な友達」の形成過程:「仲間づくり活動」の縦断的観察から
【研究分野】教育心理学
【研究キーワード】
仲間関係 / 幼児 / 親密な友だち / 集団づくり / 小学校への移行期 / 教育系心理学
【研究成果の概要】
今年度の研究実績は、以下の三点にまとめられる。
第一に、3歳児から4歳児における仲間関係の形成過程について、幼児へのインタビューと保育者による評価を縦断的に比較検討した。その結果、4歳後半になると「遊ぶ友だち」で相互に選択し合う関係が増加するとともに、4歳前半と後半の「遊ぶ友だち」の回答に見られる一致率高くなることが示された。また、「遊ぶ友だち」についての幼児の回答と保育者の評価の一致率も4歳後半で有意に増大することが明らかとなった。これらの結果は保育における集団づくりやグループ活動に有益な知見となることを述べた。これらは国際心理学会において発表された。
第二に、幼児期における「特定の友だち」関係の認識について、幼児へのインタビューから縦断的に検討した。その結果、3歳児は「遊ぶ友だち」の人数が相対的に少なく、その対象が時間経過の中で変化しやすいが、4歳後半から5歳前半にかけて継続性・一貫性が見られ始めるとともに、相互に選択し合う関係になること、さらに5歳後半から「特定の友だち」といつも一緒に遊ぶとは限らず、好意的な感情をもつ「仲良しの友だち」として認識する可能性が示された。これらは日本発達心理学会において発表された。
第三に、4,5歳児のグループでの「話し合い」活動の特徴について、合意形成の過程に着目して事例的分析を行った。その結果、4歳児のグループの名前決めの話し合いでは、6つの要素が含まれること、中でもグループの名前の「条件・方向性とそれに合う名前の提案」がなされることが合意形成にとって重要であることが示唆された。また、5歳児のリーダー決めの話し合いでは、5つの小テーマがあること、そして話し合い経験を重ねることで小テーマの重点が変化することが示唆された。さらに、「話し合い」における保育者の働きかけの特徴と意義について考察した。これらは大学の紀要にまとめられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
根ケ山 光一 | 早稲田大学 | 人間科学学術院 | 名誉教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)