カンボジアにおける初期国家の展開と地域間交流に関する考古学研究
【研究キーワード】
先アンコール / 漢籍 / 碑文 / サンボー・プレイ・クック遺跡群 / 考古遺物 / 交流関係 / カンボジア / 先アンコール時代 / 初期国家 / 地域間交流
【研究成果の概要】
1年目は文字史料の悉皆調査を中心に研究を行った。東南アジアの初期国家に関する記述が見られる漢籍や先アンコール時代の碑文についての研究をまとめた文献を収集し、資料に記載されている内容や既往研究における解釈について一覧表にまとめた。漢籍や碑文には年代に関する記述を含むものや発見地の遺跡との関係などから年代が推測される資料もあり、考古遺物との年代の整合性を検討するうえで重要である。また、碑文の出土地の把握とともに、先アンコール時代の建築様式や美術様式が見られる遺跡のマッピングも行い、文字史料を扱う文献史の研究と遺跡・遺物を対象とした考古学的研究の両面からのアプローチを目指した。
考古遺物に関する研究では、先アンコール時代の遺跡で特徴的に見られる土器を中心とした研究史をまとめ、これまでのカンボジアにおける資料調査データを用いた遺物の分析を進めた。既往の研究では、各遺跡や現在の国境に縛られた一部の地域に限定される研究が多く、同時代の周辺地域との関係性まで含めた包括的な検討はほぼ行われていない。先アンコール時代の交流関係と発展の過程を明らかにするためにも、文献で交流が指摘されている、または共通する遺物の特徴をもつ周辺地域まで含めた検討を行う必要があることが、既往研究の調査からも明らかになった。
また、日本国内で研究対象地域の関連資料(陶器やせん仏)を所蔵している美術館でも資料調査を実施し、遺物のデータを収集した。
1年目は、次年度の本格的な調査に向けた既往研究の集成と課題の抽出が中心となった。歴史的な研究の成果に関しては、次年度の調査と合わせて検討していくこととする。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2021-08-30 - 2023-03-31
【配分額】2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)