技術における集団志向性に関する研究
【研究キーワード】
デザインと意図 / 正統的周辺参加 / Many-Hands問題 / 人工物の誤使用 / 技術哲学 / 集団志向性 / 集団責任 / オープンイノベーション / 参加型デザイン / イノベーション / 組織の倫理 / 技術的媒介
【研究成果の概要】
2021年度は、集団志向性のと集団責任に関わる理論的、実地的研究をおこない、様なステークホルダー間で価値観、責任を共有することの可能性である。直江は、システムにおける作用の分散と責任の秘湯的可能性に関わるいわゆるmanu-hands問題を取りあげ、その理論的な解明と、AIの導入に伴って生じる新たな困難についてとくに医療の現場を念頭に理論的に検討した。高浦は、宮城県(特定非営利活動法人杜の伝言板ゆるる受託)の「震災復興後のNPOにおける人材育成の課題と実践」調査(2021年度)において執筆に関わった「一般社団法人REROOTS」(仙台市)の事例を取り上げ、 レイヴとウェンガーの正統的周辺参加論に基づき、集団志向性がいかに組織メンバーの人材育成過程を通じて内実化されるに至るかについて分析をおこなった(2022年2月28日、集団志向性科研報告会、オンライン)。上杉は、技術の設計と使用においては,設計者,使用者それぞれにおける志向性が生じ,意図しない使い方や,新しい使い方を生み出すことになる.こうした問題を考慮して技術を設計するための方法について検討した.そこで,使用者とともに設計する方向性と,使用者を事前に想定した設計の方向性に着目し,特に後者に関し,実験室的,哲学的,歴史的,物語的,生態学的,システム論的枠組みについて調査,分析した.金光は第一に、オンライン活動を取り上げて、身体に注目しながら哲学的分析を行った。その際、技術哲学におけるインタフェースについての議論を参考しながら、「顔」、「自律と監視」、「自己移入」を今後考察されるべき概念として提示した。第二に、デザインと意図の問題について考察し、合理的な予測可能な誤使用を取り上げて、それを可能にするものは何かという問い、デザイナーの政治的意図をいかに考えるかという問いを提示し、今後の議論の方向性を示した。
【研究代表者】