隆起山地の地形発達モデリングと山麓堆積物コアの分析に基づくその検証
【研究キーワード】
宇宙線生成核種 / 地形発達 / ボーリングコア / 削剥速度 / 地理情報システム
【研究成果の概要】
本年度は,近畿地方や中部地方を対象に,地理情報システム上での細密デジタル地形情報の解析により,遷移途上にある山地地形の分析を行い,試料採集の対象流域を定めた.これらの流域で河床堆砂の採取を行うとともに,代表的な斜面において,侵食速度を決定するための岩盤試料を数か所で採取し,石英粒子に含まれる宇宙線生成核種であるBe-10を分析して,流域の削剥速度と地形パラメータとの定量的な対応関係を得た.試料の処理および分析は京都大学および東京大学で行い,加速器質量分析の検出感度向上に関する検討も併せて行った.
土砂の給源となる山地の侵食の結果,山麓に堆積した砂礫中の石英粒子に含まれるBe-10の濃度の時間変遷を説明するため,後背山地の削剥速度変化を計算する地形進化のモデリングを行った.モデルは地理情報システムを用いて構築し,隆起速度の増大に対する応答として斜面の開析領域が拡大すると,山地がより速い速度で削剥され,宇宙線生成核種の含有量が小さい土砂を排出するような過程を定量的に評価できるようにした.シミュレーションの結果,得られているデータとおおむね整合的な出力を得ることができるようにはなったが,現実の地形とモデルとのフィッティング法には課題が残った.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松崎 浩之 | 東京大学 | 総合研究博物館 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2025-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)