20世紀後半から21世紀初頭の日本におけるメディア革命の比較文化理論的研究
【研究分野】ヨーロッパ語系文学
【研究キーワード】
ドイツ文学 / デジタル・メディア論 / 文化研究 / 国際研究者交流 / ドイツ / メディア研究 / 思想史 / 独文学 / 表象文化 / 美学 / デジタル・メディア / 芸術批評 / 翻訳 / 文化比較 / 大学論
【研究成果の概要】
デジタル・メディア時代における文学・芸術作品の社会的意味の変容を比較文化的観点から考察することを課題とした本研究にとって必要なことは、原則的にグローバルな広がりを持つデジタル・コミュニティーが、にもかかわらず各文化圏ごとに多様な現象形態をとるものであることへの、個別的な考察と、それに基づいた文化比較的観点が常に維持されることであった。この課題に鑑みると、本研究の上げた成果は二つに大別できる。第一には、研究分担者の多方面からの個別研究において多様に上げられた大きな成果である。具体的には、デジタル・メディア時代の文学・芸術作品が担う共同体的、倫理的課題にも踏み込む考察がなされたことと、この時代に実現している伝統的芸術受容からの解放という歴史的過程を、詳細な特徴記述によって解明する研究がなされたことである。また、国際共同研究という形をとる本研究は第二に、国際研究者交流という点で大きな成果を上げた。国際シンポジウムの主催と共催は四度に及び、これに他の国際会議やシンポジウムへの、個々の研究分担者の招待、参加が四件加わる。こうした相互の意見交換それ自体が、比較文化的研究の最良の実践機会であった。このことはさらに、外国文学研究としての日本のドイツ文学研究が文化研究へと発展するに際して、もはや一方的な受容による受動性から脱した能動的な知的発信を求められるという現状に、果敢に応じたものであると考える。
【研究代表者】