高加熱燃焼場のガス計測と反応解析に基づくハイブリットロケット燃料の高性能化
【研究キーワード】
ハイブリッドロケット / 高分子燃料 / 急速加熱 / 燃焼機構 / 燃焼 / 熱分解 / 反応動力学 / 宇宙推進 / 燃焼工学
【研究成果の概要】
表題の研究テーマに対して、燃料後退速度の向上研究(燃焼試験)/熱分解反応計測研究/反応機構のモデル化研究の3項目で研究を実施した。1年目となる本年度はLT燃料(酸化触媒添加無し)を用い、ベースとなる評価手法の研究を行った。以下、個別にその概要をまとめる。
燃料後退速度の向上研究では、以前の研究でパラフィン燃料に燃焼触媒として5 wt%の膨張性グラファイト(EG)を添加すると,燃料後退速度の向上が確認されている.本研究では機械的物性の優れているLT燃料でも同様に燃料後退速度の向上が期待できると考え,先行研究と同量の5 wt%のEGをLT#460-AとLT#421に添加し燃焼実験を実施した。ガス酸素を酸化剤に用いた燃焼実験から最大で55 %の燃料後退速度向上と同じく最大で95 %の燃焼効率(C*効率)を達成した.
熱分解反応計測研究では、ハイブリットロケット燃料の高加速燃焼場に近いリアルタイム発生気体分析装置での評価手法の確立を目指し、パイロライザーとスキマーインターフェース接続型IAMS装置を用いた瞬間熱分解システムの改修・調整を進め、リアルタイム計測環境を整えた。また、試料観察TG-DTAを用いてLT燃料の固相→溶融層→気液混相→気層に至る相変化挙動をリアルビューモニタリングにより、その視覚化に初めて成功した。
反応機構のモデル化研究では、瞬間加熱型ガスクロマトグラフィーおよび質量分析の複合分析と、LT燃料構成主成分の類似構造化学種であるC16パラフィン燃焼モデルに基づく化学反応シミュレーションを実施した。両者の結果から、LT燃料燃焼における妨害因子となる発生気体成分の一つをエチレンと特定した。
【研究代表者】