信頼・応報性・利他性の通時および個人間変動に関する国際比較可能な個人追跡実験研究
【研究キーワード】
社会関係資本 / 社会的選好 / 信頼 / 利他性 / 応報性 / 経済実験 / 社会的資本 / 経済実権
【研究成果の概要】
本研究の目的は、社会関係資本と社会的選好の時間的・空間的特性の分析によって協力的な経済行動の理論・実証研究を進めることである。2021年度の理論研究の成果として、信頼等の社会関係資本と利他性と応報性等の社会的選好が、パンデミック等による危機の時代に必要性が増す共同体メカニズムに、どのように寄与するかについての知見を深めた。実証研究の実績としては、2021年度應義塾大学パネルデータ設計・解析センター (PDRC) が我が国の代表的サンプルを対象に個人追跡調査をしているJHPS/KHPSのモジュール制度を活用して本調査でアンケート質問によって信頼・地域の結束・利他性を測ることを開始した。次年度以降に同じ質問を用いて個人追跡調査を行うことによってこれらの変数の時間的な変化を測定することができるようになった。また、次年度はこの調査の協力者に招待状を送ってオンライン実験調査を実施して信頼・応報性・利他性等を測定する計画であるため、このための調査方法と調査体制の準備を進めた。まず、2022年度にオンライン実験調査は国際比較可能であるようにOrganisation for Economic Co-operation and Development (OECD) の Trustlabプロジェクトの実験プラットフォームと同様の実験結果が得られると予測できる新しい実験プラットフォームを開発した。これは、TrustlabプラットフォームをJHPS/KHPSの協力者に用いるには単にTrustlabを日本で実施する以上にOECDへの委託契約が複雑になる等の実施上のさまざまな困難が予想されるからである。PDRCにはJSPS部門と、別の家計パネル調査のためのJPSC部門の2部門が存在するが本研究のためのオンライン実験を実施するために、社会関係資本部門の新設をPDRCのセンター委員会に提案し、承認された。
【研究代表者】