19世紀後半から20世紀初頭におけるパリについての総合的研究
【研究分野】独語・独文学
【研究キーワード】
パリ / 都市計画 / エッフェル塔 / プルースト / フォーレ / ランボー / ゲレメク / ヴェルレーヌ / 都市 / 芸術 / 19世紀後半 / 20世紀初頭 / 第二帝政
【研究成果の概要】
申請の段階では3カ年にわたる研究であったが、2年間の研究費のみ認められたため、最終年度にあたる本年度は、前年に集めた資料や、東京大学等の図書館がすでに所蔵している資料を、各研究分担者が分析的に検討することが中心になった。その成果は、「研究成果報告書」にまとめられている。各人の視点は分析的ながら、それぞれ総合化の契機を含んでおり、松浦のエッフェル塔をめぐる本来的な意味での都市論的考察をはじめ、保苅のフォーレ論、湯浅のランボー論も、文学と芸術との交流の場としてのパリについての、社会史的、時代史的な視点による研究の成果を示している。また松村のゲレメク論は、歴史研究の転換点においてパリという場の果たした役割を、詳細かつ広範に論じている。報告書に論文をのせていない他の研究者も、様々な場で従来の枠組みを越えた、研究を発表している。
他方本年度の設備備品の予算で、19世紀後半から二十世紀初頭にわたる期間にパリで発行された「両世界評論」を、マイクロフィルムのかたちで購入したことによって、本年度の予算を効率的に利用することができた。同誌は、文学、芸術、哲学、政治、人文科学など広範な分野の論文を集め、当時の、パリという都市空間を直接生き生きと反映した総合誌であり、その分析により、各研究分担者の視点を学際的に交流させる場が開け、本来の目的である、総合的な研究が可能になったといえよう。マイクロフィルムの一部は印刷して共同利用を容易にしたことも付け加える必要があろう。
【研究代表者】