外国語読解力を量質ともに飛躍的に高める教授法の研究
【研究分野】英語・英米文学
【研究キーワード】
外国語読解 / 学習者中心 / 学習者の主体性 / 語学の現象学 / 直読直解 / 多読 / 英語読解力 / 速読 / 学習者の自主性 / 語彙 / マルチメディア教育 / 外国語学習 / 外国語基本語彙 / 読解訓練 / 自己点検 / 大学の単位制度 / 母国語と外国語
【研究成果の概要】
読解能力向上の授業におけるノウハウを三つの時期に分けて論じた。(1)導入期には、達成目標、授業形態、進度、レベル、学生への要望、教材など明確に量的に十分記述した要項が不可欠である。教材の選択は、学生の断片的知識を大きな文脈に再編し、関心領域を拡大し、隠れた現実を可視化し、恋愛・人生に触れるなどいずれかの要素をもつ教材が効果的である。最初は素手で教材に立ち向かう接近の仕方を、導入資料その他を使って入門させることが必要である。(2)定着期には、クラスにおける人間関係や学習態度が開放的、建設的であることが成功を左右する。学生の主体性、自発性を尊重し、全ての学生に出番を設ける工夫が要る。次に英語の語順での読み下ろし訓練、全文吹き込みカセットの活用、シャド-イング、特別容易なテキストの多読などにより直読直解を習得させる。さらにサマリ-化のノウハウを教える。最初は口頭で訓練し、手本を与えるが、次第に内容に関する簡潔な質問(読解の手引き)を配布し、それに答える形でのサマリ-化へ移行する。また照応枠の指導においてはテキストに出てくる事項の一覧表と進度日程表を組み合わせたものが有効である。語彙の習得は、教材を電子テキスト化し、多頻度の語彙を選んで小単語テストを毎回行う。語意の記憶は最も飽きられやすく、倦怠と脱落の原因となるので丁寧に対策を講じる。(3)後半期は、少し力がつきあせり始めるので、「あせり」に対する指導が必須となる。また次第に進歩して自己の実力を、進歩のスケールの中に位置づけ、展望を持つことが必要となる。その場合、偏差値などの擬似客観的スケールではなく、各々の学習者の内的秩序と実感に基づく尺度で計らなければならないので読解の現象学的段階を示した。最後には、専門的な読解への準備として必要な研究上のノウハウの指導を加え、かなりの成功者を出すことができた。
【研究代表者】