経済時系列における季節調整法の検討
【研究分野】経済統計学
【研究キーワード】
経済時系列 / 季節調整法 / X-12-ARIMA法 / DECOMP法 / スペクトル分析 / 欠損値問題 / 非線形性 / 同時転換自己回帰モデル
【研究成果の概要】
この研究プロジェクトでは主として経済時系列分析において応用上で特に重要と考えられる季節性、非定常性、非線形性を巡る時系列解析の方法を理論的に研究するとともに、季節調整法としてこれまでに開発されている統計的方法について、特に官庁統計へ応用する際の問題を検討した。
まず時系列分析における非定常性と季節性を巡って幾つかの具体的研究課題について基礎的な研究を行った。中でも官庁における季節調整法として特に米国のセンサス局時系列解析グループにより既存のセンサスX-11法の拡張としてセンサスX-12-ARIMA法が開発されたので、従来よく使われているX-11法の修正内容及び計算プログラムの中味を検討した。その結果、我が国における一部の官庁統計の実務者が主張していることに反して、この方法の実務的利用については、なお理論的・実務的にも検討すべき課題が多くあることがわかった。
特に研究プロジェクト参加者の佐藤は統計数理研究所の川崎氏とともに季節調整法としてX-11-ARIMA及びDECOMPの理論的比較研究を行った。そこでこれまであまり考えられていないと思われた問題の中から季節調整を行う実務家から提起されている残差から生じるスペクトルの溝の問題を検討した。その結果、残差におけるスペクトルの溝と季節調整法の最適性の基準との間には密接な関係があることを見いだした。結論的には、センサスX-12-ARIMA法で使われている残差を用いるモデル探索の方法にを機械的に適用するにはなお考えるべき基本的問題があることが分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
佐藤 整尚 | 東京大学 | 統計数理研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
矢島 美寛 | 東京大学 | 大学院・経済学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】2,400千円 (直接経費: 2,400千円)