ジャコバン主義の再検討:「王のいる共和政」の国際比較研究
【研究分野】ヨーロッパ史・アメリカ史
【研究キーワード】
ジャコバン主義 / 「王のいる共和政」 / 共和主義 / 啓蒙絶対王政 / 政治思想 / 国際研究交流 / ジャコバン / 王のいる共和政 / 政治思想史 / 革命 / 自由 / フランス革命 / 国際情報交流 / 共和政 / 独立 / 国際情報交換
【研究成果の概要】
本研究は、「王のいる共和政」の国際比較を通じて、近代ヨーロッパ共和主義の再検討を行った。この結果、ハンガリー、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、オーストリアにおいて、「王のいる共和政」というジャコバン思想と運動が存在したことを解明した。さらに、これらの地域における「王のいる共和政」論の源流を、16世紀の政治的人文主義(political humanism)による古代ローマ共和政の近世的再解釈に見出した。加えて、この思想が啓蒙絶対王政を正当化するための主導的原理として機能したことを実証した。このようにして、この原理が1790年代の中・東欧において広範に拡大することになったのである。
【研究の社会的意義】
本研究は、ジャコバン主義を「王のいる共和政」論から再検討した点で独創的であり、ジャコバン主義の多様性を従来脚光を浴びにくかった東欧、北欧、ロシアも含めて解明した点で新しかった。本研究の最大の意義は、「王のいる共和政」と「王のいない共和政」という近代ヨーロッパ共和主義に内在する二つの側面を複眼的に検証することによって、ヨーロッパ共和政史研究と近代史研究そのものに新地平を拓いたことであろう。
また、各国語の壁に阻まれ先端的な知見の総合が進まないヨーロッパ各国の国民史的歴史学界に対して、日本の学界の知見が触媒となり研究の総合化を前進させた点で、新たな国際研究の実践方法を提示するものともなった。
【研究代表者】